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「無茶言うな。今突破なんかしてみろ。また逃げられるぜ?」
「うぅむ、困ったワン」
突破案が潰され、腕を組んで考えるワン子。
そこに雅が手を挙げる。
「なら逃げられない状況を作れば良いじゃないですか」
「そんな簡単に作れるかワン?」
「えぇ、私の異能なら簡単にです」
雅の異能、『暁の大災害(ストライク)』。
天候を自由自在に操る能力。
台風を呼び寄せたり、夏に猛吹雪を発生させたりなんかは容易い。
だが、この異能はそんなに優れたものじゃない。
雅は晴れにする事が出来ないし、快晴の日は出来ないでいるのだ。
雲がある程度必要なこの異能。
だから雅は悪天候しか使えない未熟な異能持ちなのだ。
「それでどうすんだよ?」
「大雨でも降らしましょう。今日はお手頃な曇り空ですからすぐに降らせられますよ」
成る程な、それなら雨に濡れるのを嫌がって校舎か別の建物に逃げ込むな。
それに子犬もいるんだ。
濡らしたら風邪をひくもんな。
けどな、
「降らせるのは良いけどそれって私たちもずぶ濡れって事はだよな?」
「あ……あぁ……はい、そうですね♪」
「オイ開き直るなよ」
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