よんてんに、三年前のキリカと水留

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「無茶言うな。今突破なんかしてみろ。また逃げられるぜ?」 「うぅむ、困ったワン」 突破案が潰され、腕を組んで考えるワン子。 そこに雅が手を挙げる。 「なら逃げられない状況を作れば良いじゃないですか」 「そんな簡単に作れるかワン?」 「えぇ、私の異能なら簡単にです」 雅の異能、『暁の大災害(ストライク)』。 天候を自由自在に操る能力。 台風を呼び寄せたり、夏に猛吹雪を発生させたりなんかは容易い。 だが、この異能はそんなに優れたものじゃない。 雅は晴れにする事が出来ないし、快晴の日は出来ないでいるのだ。 雲がある程度必要なこの異能。 だから雅は悪天候しか使えない未熟な異能持ちなのだ。 「それでどうすんだよ?」 「大雨でも降らしましょう。今日はお手頃な曇り空ですからすぐに降らせられますよ」 成る程な、それなら雨に濡れるのを嫌がって校舎か別の建物に逃げ込むな。 それに子犬もいるんだ。 濡らしたら風邪をひくもんな。 けどな、 「降らせるのは良いけどそれって私たちもずぶ濡れって事はだよな?」 「あ……あぁ……はい、そうですね♪」 「オイ開き直るなよ」
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