よんてんに、三年前のキリカと水留

11/13
前へ
/200ページ
次へ
それより、こんな所で突っ立ったままだと風邪を引いてしまうな。 私たちも屋根下に避難するか。 「雅、ワン子。私たちも校舎で雨を凌ぐぞ」 「え?何言ってるワン。キリカの入ったあの倉庫に行くワン」 ………………。 タイム。 この馬鹿犬何つった? 「スマン、雨音でよく聞こえなかったな。もう一度言え」 「だからあの倉庫に――」 「何でだよ!?馬鹿かお前は!?」 「馬鹿は水留ワン。これはチャンスなんだワン」 チャンスだと? 「良いか、あの人付き合いがあまりにも悪いキリカをゲットするにはこのチャンスを逃す訳にはいかないワン!」 「別に今じゃなくても作ろうと思えば幾らでも……」 「甘いワン!そんなんだからつづみはモテても全部振っちゃうんだワン!」 それ、関係ねぇだろ。 てかお前や雅もだろうが。 「モタモタしてるとキリカが逃げるワン!れっつらごーワン!」 そう言ってワン子が私の腕をガッチリ掴む。 そして倉庫へ連行しようとする。 「ちょ、待てよ!離せって!」 「離さないワン。みやびも手伝うワン」 ちょ、ワン子の野郎! 雅を使うとは卑怯だぁぁあああああああああああ!!
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1543人が本棚に入れています
本棚に追加