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結局、私たちは倉庫の中に入ってしまった。
「……何でここに来るのさ?」
明らかに不機嫌な顔をして睨むキリカに対し、雅とワン子はとびっきりスマイルを放っている。
ま、私は苦笑いするしかなかったが。
「いえ、たまたま外を散歩していたら土砂降りの雨にやられましてね。ここで服を乾かそうと思いまして」
「……嘘臭い」
キリカはどうやら真っ向から嘘だと確信しているようだ。
これはマズいな。
「嘘かどうかは置いといて、その子犬はワン?」
「あぁ、この子?お腹を空かせて迷い込んだのさっ」
「その割には随分と懐いているじゃないか」
私がそう言うと一瞬、キリカの眉がピクリと動く。
その瞬間のキリカの顔に悲しみが見えた。
「……幼女ちゃんは『異能』って知ってる?」
ぶちっ
「誰が幼女だ!テメェ殺すぞ!」
「水留ちゃん落ち着いて。それより異能ってあなたもですか?」
「『も』って事はまさか……」
「アタシ達も異能を使える人間だワン」
「驚いた……まさか僕だけじゃなかったなんて……」
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