よんてんに、三年前のキリカと水留

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結局、私たちは倉庫の中に入ってしまった。 「……何でここに来るのさ?」 明らかに不機嫌な顔をして睨むキリカに対し、雅とワン子はとびっきりスマイルを放っている。 ま、私は苦笑いするしかなかったが。 「いえ、たまたま外を散歩していたら土砂降りの雨にやられましてね。ここで服を乾かそうと思いまして」 「……嘘臭い」 キリカはどうやら真っ向から嘘だと確信しているようだ。 これはマズいな。 「嘘かどうかは置いといて、その子犬はワン?」 「あぁ、この子?お腹を空かせて迷い込んだのさっ」 「その割には随分と懐いているじゃないか」 私がそう言うと一瞬、キリカの眉がピクリと動く。 その瞬間のキリカの顔に悲しみが見えた。 「……幼女ちゃんは『異能』って知ってる?」 ぶちっ 「誰が幼女だ!テメェ殺すぞ!」 「水留ちゃん落ち着いて。それより異能ってあなたもですか?」 「『も』って事はまさか……」 「アタシ達も異能を使える人間だワン」 「驚いた……まさか僕だけじゃなかったなんて……」
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