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雅さん、キリカ、ワン子の三人が俺の両隣を賭けて意地を張っているのだ。
しかも俺の膝上で。
「みやちゃんとワン子ちゃん……ここを譲ってくれないかな?」
「ふざけんなワン。ここはアタシの場所ワン」
「そういう強欲っぷりを露呈するのは誠吾くんには良くない印象を与えますよ?」
「そうは言うけど、みやちゃんが一番強欲だと思うけどねっ……」
「何を言いますか……私は強欲な人間ではありませんよ……?」
「どっちも強欲ワン……アタシが一番謙虚だワン」
「よく言えますね……」
それぞれが襟首や袖、その他色んな所を引っ張り合っている。
最早女の子がやる事ですらない。
俺は膝の上でそんな事をやられているから女の子特有の匂いや感触がガンガン伝わってくる。
水留や寄川は呆れて先に食べている。
……何でこうなったんだろうな?
「早く諦めなさい……」
「そっちが諦めるべきだと思うな……」
「何を言うかワン……」
……はぁ。
「水留、隣良いか?」
結局、俺は水留の隣に逃げる事にした。
それを聞いた三人はショックを隠せずにいた。
こうして穏やかな昼飯が始まったのだった。
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