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「雅さん、自分の発言はちゃんと考えてから言いましょう」
「ムッ、理由に不満のようですね」
当たり前だ。
そんな理由なら周りのコイツらも言いそうだ。
「ならばもう一つの理由で立候補致します」
「……今度はちゃんとした理由でしょうね?」
「当然、誠吾くんが納得するようなちゃんとした理由です」
……それでも少し不安があるな。
この人の事だからちゃんとした理由と言っても俺からすれば変な理由に聞こえる時があるからなぁ。
……まぁ、聞いてみなきゃ分からないし取り敢えず聞いてみるか。
「……その理由は?」
「こう見えて実は目利きが得意なんです。僅かな差異でもどちらが新鮮かを見抜けます」
おっ、まともな理由だ。
けど、信じにくいな。
目利きで新鮮さを判断するのは難しい。
日にちの経つ野菜や魚と比べるならまだしも、殆ど差異の無い物同士を見抜くのはかなりの難しさがある。
……試すか。
俺は試しに冷蔵庫から適当に2本の人参を出す。
左手に新しい人参、右手には若干古いそれを持つ。
「じゃあこれのどっちが新鮮か分かります?」
「私から見て右、つまり左手の人参ですね」
……即答だ。
目利きの腕は確かに高かった。
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