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『…………』
負けた二人は恨めしそうにこちらを見ている。
睨むな睨むな。
怖いから。
一方、こんな修羅場を無視している奴が一人いる。
「つづみん、そんな可愛い顔で怒っちゃダメだぞ」
寄川だ。
彼女はブスッとした顔でこちらを睨む水留にピッタリくっついてご満悦な表情で飯を食っていた。
何だ、この修羅場と場違いは。
俺はみんなで楽しく食べたいのに何でこう、啀み合うかのような緊張の中で食べなきゃならんのだ。
…………はぁ。
今日の晩飯は美味いけど不味い飯だ。
◇
「今日は実に愉快な一日だったぞ。ではな」
ファミレスの帰り、寄川は早口にそれだけを告げて俺達とは逆の方向へと去っていった。
俺としてはホッとしたが、他はどうなのだろうか。
水留はまぁ、俺と同じだろうな。
「さて、私達も帰って誠吾くんとイチャイチャしましょうか」
「しねぇよ!俺達はそんな関係じゃないです!」
いきなりダイナマイトが降ってきた。
それもいつもと同量かそれ以上の。
「えー?僕はせーちゃんとラブラブしたーい」
「黙れキリカ!一方的な愛なんかいらん!」
コイツの場合は同量だな。
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