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「誠吾くん、お兄ちゃんってどういう事ですか?」
「いや、それは……てか、どうしてここに……?」
「目が覚めたら誠吾くんが外出してたみたいだったので、私たちも外に出てみたら、まさか幼女と散歩とは……」
「散歩じゃないですよ!朝飯買いに行ってたんです!」
「見苦しいワン、せーご。素直に言っちゃえよワン」
「じゃあこの買い物袋は何なんだよ!?」
「そんな買い物袋、言い逃れの為に少ない小遣い叩いて買ったものに決まってるワン」
「あるよ!俺の小遣いはお前が思ってる以上にあるよ!」
「ま、アタシはどうでも良いんだけどワン。それより良いのかワン?」
「あ、何がだよ?」
「一人、猛烈に怒ってるのがいるワン」
ハ、そんな奴いる訳ーー。
…………まさか。
そのまさかだった。
ゆらり、ゆらりと嫉妬の炎が燃え盛る。
その炎は標的をしっかり狙い定め、ガッチリと肩を掴む。
掴まれた肩はガタガタと震えだし、これからの恐怖から逃れようと必死に言い訳を考えている。
「せーちゃん……答え次第で僕は……無理矢理、既成事実を……作らなきゃいけなくなるんだよ……?」
「お、落ち着けキリカ!話せば分かる!な?」
ゆらゆらと燃え上がる炎は怯える肩を優しい笑顔で、そして離れないようにしっかりと掴み直す。
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