1543人が本棚に入れています
本棚に追加
『………………』
三人は幼女の発した言葉にぽかんとしている。
ああ、俺も初めて聞いた時はこんな顔してたんだろうな。
しばらくぽかんとし続けていた三人だが、次第に顔色が変化していく。
「えと……せーちゃん?今、物凄く腹が立つ名前が聞こえた気がするんだけど?」
腹が立つのは気のせいだ、キリカ。
……うん、気のせい。
「しかもその子の名字、おかしいですよね?」
おかしくないですよ。
……うん、おかしくない。
「……ていうか、それ、本当にあのつづみんなのかワン?」
どうなんだろうな。
うん、分かんない。
「ん?お姉ちゃん達は何で不思議そうな顔しているんだ、お兄ちゃん?」
「あ、あぁ、それはだな……」
何て言えば良いのだろう。
弱ったな……。
とりあえず適当にはぐらかしてから雅さん達に話すか。
「いや、気にするような事じゃないさ。それより、早く家に帰ってご飯とかアイスを仕舞っておいてくれないか?アイス溶けるしさ」
「おう、分かったぜ!お兄ちゃん!」
「じゃあ鍵を渡すな」
水留の手に鍵を持たせ、それをしっかり握らせる。
水留はその鍵を大事そうに持ちながら駆け足で家の方へと歩いてく。
少し歩いたところで振り返り、彼女ははにかむ。
そして、こう告げた。
「早く帰ってきてくれよな、お兄ちゃん!」
「分かってるって。車には気を付けるんだぞ」
「分かったー!」
そう言って水留は大きく手を振る。
俺も手を振ると、パタパタと駆けていった。
……さて。
次はこっちだな。
最初のコメントを投稿しよう!