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◇
「ただ今~」
「お帰りお兄ちゃん、遅かったな」
「あのお姉ちゃん達と立ち話していたからな。ちょっと遅くなったわ」
嘘だが。
本当はお前の事で話し合っていたんだけどな。
「こんにちは、水留ちゃん」
「お、さっきの黒髪のお姉ちゃん!こんにちは!」
ふむ、この言い方から察するに雅さん達を知らない感じだな。
記憶が喪失したのか?
「つづみ、アタシの名前分かるかワン?」
「お姉ちゃんの名前?うーん、分からないや!」
幼さ全開の笑顔で水留は答える。
……うむ、どうやら水留は記憶が喪失しているようだな。
「そうか、アタシは一森一菜、ワン子って呼んでくれワン」
「分かったぜ、ワン子お姉ちゃん!」
「お、お姉ちゃん……」
普段から呼ばれてない呼び方をされたのかワン子は頬を赤らめ、あからさまな方へ向いて頬をポリポリと掻く。
いつもは弄り倒す側にいるからかこういう不意に来るのは免疫が全くなんだな。
そんなワン子の横から雅さんが声を掛ける。
「水留ちゃん、私は住良木雅です。よろしくお願いしますね」
「あぁ、よろしくな!雅お姉ちゃん!」
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