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「ふふっ、お姉ちゃんですか。ワンちゃんが照れるのも納得出来ます」
口元に手をあて、クスリと微笑みを見せる。
初対面の時から思っていたけど、いちいちの行動が様になっているんだよな。
こういうお姉さん的立場から彼女が部長になったんだろうな。
「ほらっ、キリカちゃんも自己紹介してください」
「えー?やだよ、僕のは誰かがやっといてよ」
キリカの奴、やっぱり水留だから避けるか。
ロリが更にロリになっただけだが、キリカにとって水留は水留なのか。
「まぁまぁ、そう言わずにしてください。この子は水留ちゃんであり、水留ちゃんじゃないんですから」
水留の後ろで屈み、水留の頭を撫でる雅さん。
撫でられている水留は嬉しそうな表情をして雅さんに身体を預けた。
それを見たキリカはその無害な瞳と俺を交互に何度も苦虫を噛んだような表情で見る。
何で俺を見る?
交互に見た後、キリカの中で諦めがついたのか、溜め息をついて水留を見詰めた。
「……樟葉キリカ」
「へぇ、お姉ちゃんの名前はキリカっていうのか!よろしく、キリカお姉ちゃん!」
そう言った瞬間、キリカの手は小さな手に握られていた。
その場にいた全員が驚いたが、今の状況ならあり得る光景だったので納得してしまった。
しかし、キリカ一人だけは納得するまで時間を要したが。
「お姉ちゃん達何で驚いているんだ?」
無垢な瞳がこちらの動揺に気付き、不安げな表情をする。
その顔がまた可愛らしくて堪らない。
「ぐ……ぺったんこ平野の癖に可愛い……」
いやいや。
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