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「しかし、その私の友達とやらがいないように見えますが?」
辺りを見渡すが、彼女の友人は一人もいない。
この部屋には彼女一人しかいなかったみたいだ。
「……あなたも敬語ですか」
「あ……」
同学年なのに彼女から不思議と大人びた雰囲気を醸し出している。
それに釣られて敬語になったのだろう。
「す、スマン……つい雰囲気でな……」
「いえ、無理せずに普通に話そうとしなくていいですよ。私も敬語で話されるの慣れてますから」
「じゃ、じゃあそうします。それで?友達はどこに?」
「待つのに疲れて先に帰りました。一応私は部長なので下校時刻まで待つつもりでしたが、時間ギリギリに来ましたね」
「茶道部終わりに靴箱開けたらこの愛の脅迫文に気付いたんだ」
手に握っていた果たし状を見せつける。
すると彼女はファサッと長い髪の毛を靡かせながら、
「放課後に入れるのはやはり失敗でしたね。朝一番に入れた方が良かったですね」
と悔しそうな顔をしているように見えた。
しかし、その表情はほんの一瞬だけですぐに笑顔に変わる。
……ように見えた。
こちらから見えるのは口元とロングストレートの黒髪だけで目元は夕焼けのせいで見えない。
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