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「私だってこんなハンデ欲しくないですよ。ストレート勝ちしたいです」
「ならば……!」
「そこで私は考えました。このハンデを上手く利用する方法を」
ハンデを上手く利用する?
どうやってだ?
「まず、そのボクシンググローブを交換します」
「ふむ」
「何だか解らんがやるぜ」
お互いのボクシンググローブを交換し、嵌め直す。
水留は左手に、愛希ちゃんは右手にボクシンググローブを嵌めている。
「そのまま試合に参加します」
「お、おう?」
「全然意味が解らんが分かったぜ」
「終わりです」
『おう!……おう?』
……これは酷い。
二人の違いを利用した考えだが、これじゃハンデもクソもない。
しかもこの二人はその卑怯な手に気付いていないようだ。
……二人はバカなのか賢いのか。
「理解していないのなら実際にして理解した方が早いです。それじゃ始めましょう」
雅さんはボールを水留に渡し、後ろに下がる。
水留はボールを何故か色んな角度から見ている。
「……何だか違和感しかねぇな」
その違和感は恐らくグローブにありかと思われる。
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