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唾を呑む音。
そして一瞬の静寂。
「――川野、おれ川野のこと好き。大好き。おれと付き合ってほしい」
健太くんが自分のことを、おれと言ったのも
好きやら大好きやらとあたしに向かっていうのも夢みたいだと思いながら、ただ「はい」と返事をした。
そこからは2人で、恥ずかしがりながらもまず名字呼びをやめて、本格的に下の名前を呼び捨てようということになった。
今までも時々下の名前で呼び合ったことはあったが、あたしが恥ずかしくて名字呼びに戻すと健太くんもそれに倣ったからなかなか名前を呼び合えなかった。
でもそれをやめて、名字を呼んだら罰ゲームで大きな声で好きと叫ばなくてはいけないことにした。
恥ずかしがり屋のあたしには、試練であること。
そして、絶対進行中に健太くんが意地悪をしてくることが目に見えているため、あたしはなんとか健太くんと呼ぶことで今はよし、ということを妥協してもらわなければいけない。
呼び捨てだなんて、あたしの性格上難しかったのだ。
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