混沌

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とにかく、どちらの国も酷い有り様だった。 カンボジアでは、第一次カンボジア内戦を遥かに上回る規模になった。国際協力の下に長い年月をかけて除去された地雷が、再びばらまかれ、罪もない幼子達の体をバラバラのピース一つ一つに分解してしまうことになった。 タイ国内はというと、もはや手の施しようが無かった。 以前からいた武装集団と国軍、反乱軍の三つ巴の戦いになり、都市という都市は廃墟になった。 その惨状を目の当たりにした国連は、国連軍をカンボジア・タイそれぞれに派遣することを決定したのだった。 当時は丁度、自衛隊が日本軍に変わった頃で、日本もUNTSMに加わった。 僕も当然ながら、UNTSMの一員として派兵された。 現地は、はっきり言って地獄だった。道端には腸が飛び出したり、頭が割れた死体がゴロゴロとそこかしこに転がっていた。 道端を歩けばどこぞの所属ともわからぬスナイパーに撃ち殺され、遮蔽物に隠れれば反乱軍のグレネードで爆死する。というような状態だった。 とにかく銃弾が飛び交わないときは無かった。 交戦に伴う秩序は崩壊し、捕虜はとらず、その場で処刑する。それが反乱軍のやり方だった。 不謹慎な言い方かもしれないが、リアル北斗の拳という表現がぴったりだ。
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