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数日前に入学式を終えたこの学園。
新入生達は未だ慣れない様子で、しかし希望に満ちた表情で学園生活を謳歌しとけよコノヤロウ。
どうして、入学早々に喧嘩なんて起こしてやがる。
「そこ、鎮まれ」
言いながら、中庭で喧嘩する二人の新入生に接近していく俺。
「銀色と、くすんだ金色。お前らだ」
頭髪の色の事だ。
ついでに言えば、銀色はツインテールの女子。
くすんだ金色は童顔の男子。
二人とも、中々に生意気そうな顔をしている。
「何よアンタ。部外者は引っ込んでなさいよ!」
銀髪ツインテールが、俺に向かってそう叫んだ。
「生憎と、この学園の風紀を守らなきゃならない身でな。部外者になってる訳には、いかないんだよ」
残念ながら。
「そもそも、何が発端だ?」
切っ掛けを聞かない事には、仲裁も出来ない。
「コイツが家の自慢してたから」
「コイツが魔法の自慢してたから」
互いを指差し、二人は答えた。
「……仲良くしろよ。じゃあな」
馬鹿らしい。
俺は踵を返してこの場を立ち去───
「駄目ですよ、ユウキ先輩」
───れなかった。
俺の目の前に、金髪碧眼の美少女が立ち塞がる。
「方向性が異なる自慢合戦を決着させる方法なんて、俺は知らない」
「それでも決着させるのが、我々『風紀委員』の仕事です」
真面目だな……。
「それに、『上には上が居る』と言う事を教えれば、それで良いのではありませんか?」
簡単に言ってくれる。
「……七光り坊っちゃんの方は任せるぞ」
仕方無い。
やるか。
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