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"彼ら"はこの学校にあまりにも合っていて、それながらどこか不自然。
どっちなんだって言われるのだろうけどもその通りだった。
僕らが捕まってしまった"彼ら"はそんな奴らだったんだ。
『山崎君? 返事聞かせてもらってもいいかな?』
幾重もの重なり合う声。
その声の大群の先には、どこから持ってきたのか隣の白百合(シラユリ)学園の制服をハき、年頃なのか化粧をしている筋骨隆々の"男達"
その面々を見た瞬間、隣の隆平はゲッっと嗚咽を漏らし、苦虫を飲んだような顔をした。
多分、僕も同じ顔になっているのだろう。
それより何故、僕なのだろうか?
彼らが本当に女性の心ならば女の子みたいななりの僕じゃなくて、漢らしい隆平の方が好みのはずだ。
そう僕は彼らに諭してみるのだが返ってきた答えは更に僕を絶望へと追いやることになった。
「僕達はね。 可愛いモノが好きなのよ。 可愛いモノを見ると愛(メ)でたくて愛でたくて仕方がないの」
そう言いながらクネクネと動く奴らには、もはや常識は残ってないらしい。
回りを囲まれた僕らに今から何ができるか。
隆平の目を見ると意気消沈と戦意すらも喪失している。
ここは僕がどうにかするしかないと言うわけですね。
「僕は普通の戸籍上からの女の子が好きなんだ!」
「あら? 意見の食い違いね。 それじゃ、強硬手段で愛でさしてもらうとするわ!」
奴らの中の1人が代表してそう言った。
その体のクネクネをよりいっそう大きくして。
語尾にハートマークが付いたような言葉で僕に死刑執行宣言を宣告する。
「……隆平、ごめん」
「お前の責任じゃないさ」
なんで、夏休みが始まった時から自分の貞操の心配をしないといけないんだろうか?
半分以上諦めていた僕らは逃げる気力すらもなく。
彼らがジリジリと迫ってくることすらも防ぐことができなかった。
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