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僕がそう聞くと、彼女はゆっくりと頷いた。
"言霊"それは言葉に込めることができる力。
"言霊"を込めた言葉はその言葉通りの力を持つ。
今の通り『眠れ』だったら相手は眠るし、『燃えろ』だったら相手は燃える。
やたらめったら言葉に言霊を込めると世界は大変な事になってしまうから使い勝手はいまいちだ。
そもそも、言葉を放つ相手に自らの姿が見えており、きちんと発音もよく聞こえないといけない。
そんなわけで"言霊"を使いこなす彼女の滑舌はアナウンサー並だ。
また、何故彼女がこんな力を持っているかというと――
――それは彼女が正真正銘の超能力者だからだ。
いきなりのことでは誰も信じないかもしれないが、確かに本当の事。
僕が物心ついた時には既に彼女の超能力は当たり前のように存在していた。
彼女の力はこの他にも念力や催眠術、テレパシーなどとバラエティーに富んでおり、他の超能力者などは見たことないがどれもこれも一級品だろう。
沈黙は僕らの間を支配し、時計の針が数回回った頃、横で落ち着きを取り戻した隆平がゆっくりと口を開いた。
「……帰るか」
頷いた僕らは校門へと歩き始める。
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