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先週の騒動から一転、夏も初夏を抜け出し休みもちょうど中盤へ突入しました。
相変わらず蝉はうるさく、太陽はうっとうしいです。
そしてまた、静は前の一件からからも立ち直り、今ではすっかり元通り。
卑屈な静も良かったのですが、やっぱりいつもの我が儘な静が落ち着きますね。
「勇! かき氷おかわり!」
「自分でやりんしゃい」
「シロップは苺だよ! あ、でもレモンも捨てがたいな……」
「とりあえず話を聞こうか?」
僕はきらきらと光るガラスの器を手渡され台所へと立った。
リビングでは静がソファーに寝転がり、我が愛犬とじゃれあっていてなんだか頬の筋肉が緩む。
窓は網戸を残して全開にしており、心地よい風が部屋を吹き抜け涼しかった。
僕はかき氷機の中に氷を入れ手元のレバーをぐるぐると回す。
レバーに手応えを感じると、氷はシャリシャリと音をたてながら雪と化し、下の器に降っていった。
それを、いつの間にか目の前に来ていた静がキラキラと輝く大きな黒目で見つめるのだった。
おなじみの赤いカチューシャは黒く艶やかな髪の上で映え、その艶やかな髪は下に一直線に落ちている。
できたてのかき氷を静に手渡すと、ぽつりと静が呟いた。
「そういえばさ……」
「ん、どうしたの?」
「ゆ、勇がこの前にい……言った言葉ってね」
「この前?」
「私が暴走した時の」
そこまで言われて僕は理解した。
静の暴走を止めた後、何かとクサい言葉を言ってましたね。
……一生守るだとかなんだとか。
思い出して考えてみるとものすごく恥ずかしくなってきました。
頬がものすごく熱く感じます。
「……そ、それがどうしたの?」
「あれってね……コクハクされたってとっていいんだよね?」
コクハク?
こくはく、コクハク、告白。
告白?
僕が静に……。
僕は静のことが好き?
「勇?」
口が停止した僕に静が追い討ちをかける。
考えても答えがでなかったため、一度保留といいたい。
しかし、頬を少し赤らめて、その大きな瞳で力強く見つめられていたらそんなことを言う勇気はどうにも沸かなかった。
「えーっと、その……、あの……、あれは――」
「勇?」
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