Second Love

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そういえば、何かの本で読んだ気がする。 手をつなぐ方法というものを。 僕はそれを思い出し、静の方をチラリと見た。 『大事なのはシンクロする事だ。』 本にはそう書かれていた。 出す足をシンクロ、歩幅をシンクロ、手の振り方をシンクロ。 その三つさえシンクロできたなら、手を繋ぐことがさりげなくできる――らしい。 チラッと彼女の足を見る。 白いスカートから見えている生白い足を見て僕はゴクリと唾を飲み込んだ。 太陽の光を浴びてキラキラと輝いている足を見て、その歩き方をシンクロする。 始めこそはぎこちなくなるが歩き方に慣れてしまえばなんてことはない。 まだ簡単だ。 次に僕は手を見た。 裾から伸びている腕はとても華奢で細かった。 それが横で揺れるのを観察し、真似をしてみる。 これで完璧に静と歩くのをシンクロできたわけですが、ここからどうやって繋ぐのかを忘れていた。 確か、最後にはこう書かれていた気がする。 『男なら最後は気迫で決めるのみ!』 …………ここまで来て最後は気合いだったのか。 気合いで繋げるなら誰も苦労はしないのに。 こうなったらアレだ。 隙を見て繋ぐしかない。 さりげなく―― さ、さりげなく―――― できるわけがない。 しかし、ここまで来たら僕も男だ。 隙をついて――隙を―― こう念じながら僕はジーッと静を観察する。 しかし、彼女はなかなかに強敵であった。 黒くしなやかな髪は背中に垂れ、白いワンピースと映える。 そして、前を向いている少し吊りがちな瞳はガラス玉が入ってるかのように輝いていた。 ゆっくりとゆったりと歩いていく彼女は隙をなかなかに見せず、手を繋ぐきっかけすらも見当たらなかった。 会話は頭に入ってこず、目は彼女に奪われる。 頭がどうにかなりそうだ。 「……勇、さっき何をジロジロ見てるの?」 彼女はさっきからチラチラ見ている僕に気がついたようで、とても湿っぽい目つきでこちらの方を見ていた。 "手をつなぎたい"と言う、彼女の吊り目がちの瞳をまっすぐ見ながら。 そんなこと、僕にはやっぱりできっこなかった。
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