Second Love

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「でもさ、美味しいんだけどさ、やっぱり量が多い気がするんだけど……」 この場には二人しかいないというのに三人前――いや、四人前近くある気がする。 「そりゃそうだよ、だって私が食べるんだよ?」 彼女は爽やかに笑った。 そういえばそうだった。 能力使用の副作用というべきか、体力を多々消費する彼女は成長期ということもあってか異常な食欲を見せつける。 「さーて! 食べるぞー!」 箸を持ってアハッと自虐的に笑った彼女は凄まじい速度でお弁当を平らげていく。 おにぎり、卵焼き、煮物……。 彼女が操る二対の槍は縦横無尽に弁当箱を駆け、本能の従うままに口へと放り込む。 そしてこちらをチラッと見てきたので先ほど渡されたペットボトルのお茶を差し出す。 それを少し躊躇った後に煽った静は何故か嬉しそうに一息をつく。 「まさに以心伝心だねー」 「でもさ、静は僕の考えてることわかるの?」 「……わかるもん」 「じゃあ、当てて見せてよ」 からかうように――いや、まさにからかう口調で僕は静に質問をけしかける。 屋根のないこの場所で真っ赤に燃えるカチューシャの下、彼女の瞳はまっすぐに僕を見ていた。 キラキラ輝く黒い目の中に写る僕。 何故か少し気まずくて目を逸らしたけど、その時の僕の目の中にも彼女がいたのだろうか? 「……この後のことでしょ?」 「残念、違う」 「じゃあ、なにを考えてたの?」 彼女の答えににやけながら不正解を即答する。 僕は正答を求める彼女に対して、答えは秘密って笑って言った。 相変わらずおてんとさんはギラギラと輝いているけれど、不思議と暑くて辛いなんてことはなかった。 時折吹き抜ける爽やかなそよ風が気持ちよく、サラサラと揺れる彼女の髪は僕の心を締め付ける。 暑くはない。 ただ、甘酸っぱい切なさが僕の胸を刺激した。 その正体を探して、僕は青空を見上げたけどもそこには風しかなかった。 僕と静の間を微風が吹き、去り際に髪を撫でる。 その瞬間、汗が流されて。 だから、彼女がやけにキラキラ輝いて見えたのはそのせいなのだろう。 きっと、そのせいなのだろう。
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