Second Love

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播磨さんが演奏し始めてからしばらく経つと、公園内にいた人の半数が何処かへと去って行った。 その半数が組織からの追跡者だったのだろう、これだけの人数がこの公園内に彼がいることに辿り着いていた。 このままだと捕まってゲームオーバーになるのも時間の問題だったのかしれない。 公園内には家族連れの人達が暖かい陽だまりの中でおしゃべりを楽しんでいる。 時折吹く風に気持ち良さそうに髪をそよがせながら。 僕らがいるこの白いテーブル。 隣には静が少し不満そうに、前ではドヤ顔をした播磨さん。 「勇ー。 そろそろ種明かしよろしく」 眉間にシワを寄せた静が僕の肩を叩く。 「そんなに知りたいなら覗けばいいじゃないか」 「そんなの意味がないの。 勇の口から聞かないと」 「……変なの」 静の気持ちはだいぶわかるつもりだが、まだわからないことだらけだ。 特に、女の子としての静の気持ちなんて。 僕はフーッと息を吐いてから話した。 「だから、そんな複雑なことはしないんだってば」 「じゃあ、どうするのさ?」 「播磨さんが追跡者に暗示をかけるだろ? これで邪魔者は去る。 でも危険がある可能性は無視できない」 「そこで私の出番ってわけね!」 僕は頷いた。 「でもさ、どんな暗示をかけたらいいのかな?」 「僕らだってバレなかったらそれでいいんじゃない」 僕がチラリと播磨さんの方を伺うと彼は僕の言葉に同意したかのように小さく頷いた。 それでやっと理解したらしい静は唇をパクリと開き、風に音を乗せ始めた。 暗示というものは歌わないとできないものなのか? 二人を見る限りにはそういうものらしいのだが。 ならば、播磨さんがかけていたというプロテクトとというもの一体なんなのだろうか? 耳の中で震える彼女の歌声。 何事かと周りの人達は僕らを見るが静はそんなことお構い無しにメロディを奏でた。 風のなる音と静の歌声。 互いに重なり合い、交差し、僕の頭の中で反射し、反芻する。 一層強くなる風の中、彼女は生き生きと笑みを浮かべており楽しげに微笑んでいた。 嫌いなはずの力を使っていてなお、楽しそうだった。
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