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机の中から僕にとっての不幸の手紙の束を取り出す。
「じゃーん! 不幸の手紙!」
不幸の手紙にしてはハート柄やら水玉模様の便箋の物が多い気がするが、きっとそういう仕様なんだ、そういうことにしておこう。
その方がいい。
机の上で異様な存在感を放っている色とりどりの手紙を見て、彼は眉を歪ませた。
「……これは不幸の手紙というよりラブレターじゃないん?」
ツーッと背中に冷や汗が流れた。
ラブレター?
そんなわけはないさ!
僕は絶対に認めないし、読みもしない。
不幸の手紙なら呪われてしまうじゃないか!
「やっぱりラブレターや。 しかも男から、全部」
隆平がさも愉快気に顔を歪めた。
「違う! 認めない!」
そう言った所で現実は残酷で、僕の目の前にはらりと手紙が叩きつけられた。
『山崎君、どうもこんにちは。 僕の名前は――』
「……き、きっと僕っこなんだ」
もうそろそろ自分を騙すのにも限界がキているような気がする。
「そうやな、僕っこやな。 ……男の」
「………………」
駄目だ、もう何も言い返せない。
二人の間に沈黙が訪れた。
なんで僕はこうも男からモテるのだろうか?
吐き気しか感じないのに。
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