Second Love

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これだけいたら何人か怪我しても仕方ないよねと、空に歌うようにまるで朗らかな詩でも詠むように言った。 そして、真っ赤な舌でそのふっくらと柔らかそうな唇を舌舐めずりをする。 いつもと違う様子を見せる静。 それは自分と同じ超能力者と触れ合ったことから生まれた様子なのか。 どこか、いつもは入らないスイッチが入ってるみたいだ。 そう、まるであの時みたいに……。 「それじゃ行きましょうカ?」 ……そうだ、今考えるべきなのはあの時のことじゃない。 今、どうするかだ。 今回の件の間、静が傷つかないようにすることだ。 ゆっくりと階段を降りる彼女、僕はその後ろ姿を追いかけた。 「さぁ、どうするよ?」 「だから、さっきから言ってるじゃない。 強行突破だって」 「だからーー」 播磨さんはまだ静に聞きたそうにしていたが、とうの彼女がそっぽを向いてしまったため諦めたようだ。 少しした後、彼が呟いたまぁいいか、という言葉でそれが十二分に伺われた。 「さて行くわよ」 両手を高らかに広げて宣言をする静。 赤い赤い唇が蠢き、青い青い空から呼応するように風が吹く。 静が怪我をーー傷を負わないようにすると決めていた僕。僕は、僕は彼女を止めることができるのだろうか? このまま事が進めば静は彼らを圧倒するだろう。 他のものと比べて彼女の能力はそれほど違う。 圧倒して、播磨さんを逃がして、それでことが済むのだろうか……。 多分このままだと彼女はーー またーー 傷を負うことになるだろう。 それも前と同じ、心の傷を。 僕は彼女を止められるのだろうか? 彼女は止まってくれるだろうか? 息を吸い込んで僕は彼らを見た。 自分達の仲間が一瞬で倒され、かなり警戒心を高めている彼らを。 今度は静を見た。 同類をたくさん見てなのか、かなり感情を高めている彼女を。 太陽はキラキラと輝いていて、雲が作り出した空の空白を照らす。 蒼さが空白にしみてまたそれも蒼さへと変えられていく。 僕はゆっくりと息を吐く。 ……何を迷っていたのだろう、僕は。 静のあんな姿を見るのはもうたくさんだ、なんてあの時に思ったんじゃなかったのか? 僕は走り出した。
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