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僕は目の前の手紙の束を指差してお願いする。
「……処理、頼んでもいい?」
「……嫌」
心底不快そうに眉をひそめる彼。
そんな彼の鞄の中に手紙をたっぷりと詰め込む。
「……ありがとう」
隆平、なんていい奴なんだ。
自然と僕の目頭が熱くなる。
すると、突然頭が思いっきりはたかれた。
「なにがありがとうなんやねん! 俺がいつ良いって言った?」
「え、駄目なの?」
「駄目に決まってるやろが! シバくぞ!」
「カリカリすんのはよくないぜ! ほら、牛乳飲めよ!」
彼にパックの牛乳を手渡す。
……が、手の中の牛さん印のパックは遥か遠くに吹き飛ばされた。
ふと周りを見渡すと、通知表を貰った人からの流れ解散だったために人は既に帰ったらしく、教室内は閑散となっている。
「……そろそろ帰ろっか?」
馬鹿やってるのも飽きたし、お腹も空いてきたし。
時計を見るとその針は天を指しており、俗に言うお昼時にさしかかっていた。
「そうやな、もうそろそろタモさんに会いたくなってきた」
手紙の束を何のためらいもなくゴミ箱に放り込んで鞄を持つ。
僕達はまだ知らなかったんだ――
――この後にあんな事になるだなんて――
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