帰国

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「えー、今日はこのクラスに 転入生が来ます…」 「キャハハ!えーマジで?」 「彼女はずっと海外で 暮らしていたために…」 「マジマジ!私も聞いた時 超ビックリした!」 「慣れない土地で不安も あると思います。だから…」 「だよねー!」 「…。」 「それでさー!」 おいおい。 先生が話してるのに無視 ですか。 しかもスゴい笑い声。 耳の奥がまだ痛いや。 あれ?先生泣いてる? 泣いてるよね? あ、こっち見た。 もうこれイジメだね、うん。 「では、転入生を紹介します。」 ガタ…ガラッ。 開きにくい扉を無理矢理 開けると何十人もの視線が集まるのを感じた。 先ほどまで騒がしかった クラスが静かになる。 「えっと…」 言葉に詰まる。 普段はしない緊張で足が震えてきた。 「オーストラリア、来マシタ… リアナ・ジョセフ言イマス」 私の自己紹介にクラスが発した言葉は、   『…え?』(全員) その一言。 目を丸くするクラスに私は同感する。 だって私の見た目は、普通の 日本人なのだから。
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