6637人が本棚に入れています
本棚に追加
「痛ぁっ! なんで叩くのよ」
私は、可哀想な頭を優しく撫でた。マンガみたいにたんこぶが出来たらどうしてくれるんだ、まったく。
「お前な……年頃の娘が、自分の経験を軽々しく話すもんじゃない。ましてや、あんな大勢の前で初体験告白なんて、どんな破廉恥女だ」
「ぐっ……」
ぐうの音も出ない、とはまさにこのことだ。ということは、先生は先生なりに、私のこと守ってくれたのね……。
ちょっと、いい奴かも。
「あ、ありがと……」
小さな声のお礼は、授業の始まりを知らせる鐘の音にかき消された。
.
最初のコメントを投稿しよう!