2.子守りの奏ちゃん

10/12
前へ
/533ページ
次へ
  「痛ぁっ! なんで叩くのよ」  私は、可哀想な頭を優しく撫でた。マンガみたいにたんこぶが出来たらどうしてくれるんだ、まったく。 「お前な……年頃の娘が、自分の経験を軽々しく話すもんじゃない。ましてや、あんな大勢の前で初体験告白なんて、どんな破廉恥女だ」 「ぐっ……」  ぐうの音も出ない、とはまさにこのことだ。ということは、先生は先生なりに、私のこと守ってくれたのね……。  ちょっと、いい奴かも。 「あ、ありがと……」  小さな声のお礼は、授業の始まりを知らせる鐘の音にかき消された。 .
/533ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6637人が本棚に入れています
本棚に追加