2.子守りの奏ちゃん

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 私は、保健室を出る時に、先生の方を向いてこう叫んだ。 「じゃあ、行ってくるね、奏ちゃん!」  先生は、三秒くらい何も反応しなかった。そして、みるみる顔が赤くなる。 「奏ちゃんってお前が呼ぶな!」 「だって、パパの手紙にそう書いてあったもん。じゃあね、そーうちゃんっ」  予想通り。生徒にちゃん付けで呼ばれて、すごく嫌そう。いい気味だわ。 ……あ、一ついい忘れた。 「奏ちゃん、あとね~?」 「なんだ、早く行けよもう……」 「奏ちゃんの手、すっごい臭かったよ! 本当にげんなりした! じゃあね」  そう言いながら、扉を強く閉めた。何か叫んでたけど、気にしない、気にしない。 .
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