3.悲しみの奏ちゃん

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 俺は、スルメを噛みしめながら、先月親父に言われた事を思い出していた……―――― 『奏太、頼む。この通りだ……父さんもサラリーマンなんだよ』 『いくら親父の会社の社長の命令だからって……社長の娘の子守りのために、何で俺が異動しなきゃいけねぇんだよ』 『奏太の気持ちは分かるが……お父さんの立場もわかってほしい』 ――不運にも、俺は菜月親子に振り回される形となった。  しかも、青峰に転任するにあたり、菜月父はこんな条件まで出してきた。  俺は、菜月父にもらった手紙の二枚目をそっと開く。これはさすがに、菜月娘には見せなかったが。 .
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