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「瀬戸椎蘭?」
ものすごく睨まれている気がするんですが…
「あ……もしかして鳴海くん、メガネかけてない?」
「見ればわかるだろ。今はかけていない。だから君の顔がすごくボヤけて見える」
普段メガネをかけている鳴海くん。
だけど今はメガネがない。
だから目細めてたんだ…。
睨まれていたわけじゃないことに安心して、息を吐く。
「瀬戸椎蘭。何しにこんな時間まで学校にいるんだ」
もともと無表情な彼は、気持ちが読めない。
「あ…えと…………あっ!」
「なっ…なんだ、いきなり…」
「泰ちゃんのこと忘れてた…」
いそいで教室に入り、鞄を手にして再び走りだす。
「ごめん、鳴海くん!詳しくはまた後程!」
その場に取り残された鳴海は、呆気にとられたような顔で走り去る椎蘭の背中を見つめる。
「…一体なんなんだ。全く…変な女だ…」
そう言いながら彼も鞄を持って玄関へ向かうために廊下を歩きだした。
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