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急いで校門へ行くと、泰ちゃんが手を振ってきた。
「遅かったな~」
息を切らす私の頭をポンポン撫でながらニコニコと笑う泰ちゃんに、複雑な思いを抱く。
「あの……泰ちゃん、怒ってないの?」
「ん?なんで怒るんだ?」
私はガックリと肩を落として、“なんでもないよ”と苦笑いした。
泰ちゃんはほんとに天然なんだから…。
「じゃあ帰るか」
泰ちゃんがそう言うと同時に、私と泰ちゃんの前に真っ赤なスポーツカーが停まった。
「やっほー♪遅いから迎えにきたよ~ん」
スポーツカーの窓から顔を覗かせるのは、私たちのママ。
「ママ…」
「母さん…」
呆れる私たち兄妹を余所に、ママは早く車に乗るように促してくる。
ママの車は後部座席がないため、助手席に座る泰ちゃんの足の間に座った。
そんな私たちに、“仲良いわね♪”とママが茶化してくる。
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