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「椎ちゃん、あのね?今日の夜、湊来るけどいい?」
え……?
「水城先生が…?」
ママを見つめると、ママは嬉しそうに頷いた。
「いつか、椎ちゃんと泰ちゃんにも紹介しようと思ってたから、ちょうどいいわ」
何も知らない泰ちゃんは、ママを見ながら首を傾げる。
「何?母さん、水城先生と付き合ってるの?」
「ええ。それで、今日うちに来るから♪」
泰ちゃんは、特に気にした様子もなく、
「そうなんだ」
そう言って前を向いた。
私は何も言えないまま黙って俯いた。
少しだけ目に溜まった涙が、開けてある窓から入ってくる風に乾かされた。
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