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「ご飯、一応持ってきたけど食べれそうだったら食べな?」
泰ちゃん…
私は涙目になりながら泰ちゃんにギュッと抱きつく。
「珍しいね、椎蘭が甘えるなんて」
ほんとはずっと甘えたかった。
だけど、泰ちゃんに迷惑かけたくなかったから…。
「泰ちゃん……私、今日は部屋から出たくないよ…」
「なんで?」
私の頭を撫でながら優しい声で問い掛ける泰ちゃん。
「水城先生が来るから…」
「?」
泰ちゃんには、どうして水城先生が来るから部屋を出たくないのかわからないのだろう。
私は泰ちゃんにすべてを話した。
「…そうだったのか。椎蘭が水城先生を好きなんて、気が付かなかったな…」
泰ちゃんは少し顔を歪めて苦笑いをした。
「なのに……水城先生がママの彼氏だったなんて…」
「…大丈夫。俺が協力してやるから」
泰ちゃんは私の肩を掴みながら眉を潜めて言い聞かせるように囁いた。
「泰ちゃん…?」
私が声をかけると、泰ちゃんはハッとしたように私から離れた。
「ごめん……とにかく、母さんには悪いけど、俺は椎蘭を応援するよ」
泰ちゃんはいつもの笑顔で笑い、私の部屋を出ていった。
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