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ジーッと咲蘭ちゃん……じゃなくて、玖嵐くんを見つめていると、彼は得意気に笑った。
「何?かっこよすぎて見惚れちゃった?」
玖嵐くんに顎を持ち上げられ、耳元で囁かれる言葉に、私の顔はみるみる赤くなる。
「違っ…!てゆうか、咲蘭ちゃんの時と声違うよっ」
咲蘭ちゃんは声が高くて可愛いのに、玖嵐くんは少しだけ高いけど男の子っぽい声。
「ん?咲蘭の時は裏声で、玖嵐の時が地声」
そ、そうなんだ…。
「そ、それより……顔近いよ…っ!離れて!」
「やーだ。椎蘭ちゃんの照れて困ってる顔、最高に可愛いもん」
「なっ…!?」
この子……とんでもないドS小悪魔だ…。
私は無理矢理、顎を掴んでいる玖嵐くんの手を振りほどく。
「す、好きな人以外にこんなことされても…困るよ」
言ってからハッとして玖嵐くんを見ると、切なげに顔を歪めている。
―――ドクンッ
心臓がギュッと圧迫されたように苦しくなる。
「あ……ごめん。玖嵐くんがイヤとかじゃなくて…」
「……うん、ごめん。困らせて。以後、気を付けるから」
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