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ダラダラ歩くグミちゃんと教室の扉から廊下を覗くと、廊下には女子の集団が群がっている。
その中心にいるのは紛れもなく、さっき私に迫ってきた玖嵐くん。
私が顔を引きつらせていると、グミちゃんが「知り合いか?」と首を傾げる。
「知り合いってゆうか……あの……咲蘭ちゃんだよ、あの男の子」
「……はっ?」
意味不明、と言ったような顔をするのも当たり前だ。
「しかも、さっき迫られたの」
「な、に…?」
珍しくグミちゃんが焦ってるのを横目に、ふと玖嵐くんの取り巻きを見てみると、ユズちゃんが加わっている。
「うぁっ、なんでユズちゃんまで…っ!」
ユズちゃんの後ろには、アワアワと涙目で焦っている大和。
…ああ、なるほど。
ユズちゃんも玖嵐くんの虜ってわけね。
大和も可哀相に…。
「何やってんだ、教室入れー」
その声に、女子が一斉に振り返る。
なぜなら、水城先生の声だったから。
「はぁい、先生。今教室に入りまぁ~す」
クネクネしながら猫なで声を出す女子たちに、先生は呆れながら眉間にシワを寄せている。
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