2526人が本棚に入れています
本棚に追加
「…こんばんは」
私とパパに向けて会釈し、ゆっくりソファーから立ち上がった先生。
そのままパパの目の前まで行き、真剣な表情で口を開いた。
「初めまして。娘さんのクラスの担任をしている、水城湊です」
「担任…?わざわざ家まで……まさか椎蘭が問題でも…?」
パパは不安そうに顔を歪め、先生を真っ直ぐ見つめている。
「いえ。むしろ真面目で問題などありません」
先生の言葉に、パパは安心したように息を吐き、もう一度先生を見つめた。
「…でしたら、なぜ?」
「…近々、北海道に引っ越すと聞いたので」
パパは私をチラッと見て、「ああ…」と呟く。
「その件について話があって来ました」
「……とにかく、座ってください」
パパは先生の向かいのソファーに腰をかけ、先生にも座るように促した。
先生は無言でソファーに座り、私に隣へ来るように手招きする。
きっと、一緒に説得してくれるのだろう。
私は先生に頷いて隣に座り、パパを見つめる。
ママと泰ちゃんは空気を悟ってか、少し離れた場所でこちらの様子を伺っている。
最初のコメントを投稿しよう!