私の好きな人

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校門まで走っていくと、ママは呑気に手を振ってきた。 「椎ちゃーん♪」 見た目も中身も年齢も若いママがお弁当を持ちながら私に向かって声をかける。 「もう、ママ!」 「どーして怒ってるのよ~。せっかくママがお弁当持ってきてあげたのに」 34歳の私のママは、最近彼氏ができたらしく、毎日肌がツヤツヤしている。 ちなみに、私の家は母子家庭だ。 小さいときにパパが出ていって、ママは1人で私とお兄ちゃんを育ててくれた。 私のお兄ちゃんは、現在高3。 私と同じ、この学校に通っている。 泰神(タイシン)という名から、私とママはお兄ちゃんを泰ちゃんと呼ぶ。 「はい、お弁当♪泰ちゃんにも渡してね?」 私専用で、ピンクのドット柄の布で包んであるお弁当箱と、泰ちゃんの黒い布に包んであるお弁当箱を渡された。 「泰ちゃんは今日、購買で買うって言ってたのに…」 「あら…そうだったっけ?」 忘れていたのか… 呑気すぎるママに、だんだんイライラしてくる。 本気でキレそうなそんな時………
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