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「大和く~ん!久しぶりぃ」
「相変わらず綺麗ッスね!」
大和は私の気持ちを知っている。
私が先生を好きなことを。
「お世辞なんて言っても何も出ないわよ~」
「てか、先生ぇ~。授業ほったらかしですよー」
大和は親指を立てて、校門から見える教室を指した。
「あ~…悪い。じゃあ、俺戻ります。また夜に連絡しますから」
「えぇ。授業がんばってね」
ズキッ…!
心臓が引き裂かれるように痛みだす。
「大和…」
私は大和の制服の裾を引っ張った。
大和は何かを察して、ママに「俺たちも戻ります」と、愛想笑いを向けて私の腕を引っ張って学校の中へ入っていく。
ママは愛車に乗って、学校から去っていった。
学校に入った私たちは、教室には戻らずに空き教室へ向かった。
空き教室に入った途端、私の涙腺は一気に緩み、大泣きしてしまった。
そんな私を、大和は無言で抱き締めてくれた。
時折、頭を撫でながら優しく宥めてくれる。
大和が幼なじみでよかった…。
私は初めてそう思った。
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