1 死にませんから

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いやだなあ。面倒くさい。俺は悪くねえ!しかし、この子たちはこんな風にしか育てなかったのか可哀想に。仕事が見つからないから こんな事をしているのか、可哀想に。可哀想に、きっと仕事をしていく事への罪悪感も背徳感も消えてしまったに違いない。可哀想。しっくりくるのは その一言に違いない。可哀想だ。なんにせよ面倒くさい。彼らが可哀想でも今の私にはなすすべがない。彼らのするようにされても、彼らの仕事を奪っても、彼らの命を奪っても、彼らを救うことにはならない。可哀想に。 「可哀想に」 それ以外できずにポツリと呟いた。 それと彼らが崩れ落ちたのは同時だった。 「困るんだよ、俺の店の前でそういう事すんの。気分が悪いし、事後処理とかすんの俺だし、客が来にくくなるし、っても片付けはしなきゃな。」 ボンヤリと声の主を見たら、綺麗なエメラルドグリーンと目があった。 「で、嬢ちゃんは何してんだ?」 「あ、」 目の前の屍と血の臭いでクラクラする。 「喋れそうにないな。ま、いいや。ついてきな」 私は腕を引かれてされるがままに後をついていった。
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