12人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうしたんだい?お嬢ちゃん、さっきから百面相してるけど」
どうやら考えすぎたらしい。しかし、確信はない。方法があると言えばあるが、面倒くさい事になる気もしなくはない。まあ、あれだけ目立つ有名人ならね。
「いえ、なんでもありません。説明しますね」
それからオジサンの質問に答えたら笑われた。
「っはっはっは。そりゃあないぜ、たしかに兵士やってりゃ人を沢山殺すが、死んだ覚えがない。お嬢ちゃんも悪い子には見えないな。しかし、トラックに引かれた、か。反動で飛ばされたんじゃねーか?中世ヨーロッパって、俺らの町はそんな古く見えるか?最新設備なんだが、お嬢ちゃんの国は俺らの国と違って魔導を使わないで発展した国なんだな。珍しいが少々 この国や周辺じゃ厄介だぞ」
この世界では車にぶつかった反動で死なずにかなりの場所まで飛ぶみたいだ。いやいや、でも血まみれだったはずだしな、私。
「あの、ここに来る前に仮面を付けてド派手で白い肌の人を見かけました。もの凄いオーラだったんですけど、」
「お嬢ちゃん、アルケイン将軍に会ったのか!?」
「いえ、見かけただけです」
―嘘です。バッチリ触りました。いや、さわられました!受け身で!!
でも、アルケイン。こんな名前のあんな姿の人を私は一人しか知らない。私がはまる友情と戦略と忠誠の携帯ゲーム「英雄になりたい!」シリーズにばっちり三百年くらい連続登場する不死者、ネクロス帝国の将軍アルケイン様だ。ゲーム内の我が上司である。しかし、リアル戦場は無理だな。兵隊ってリスク高い分だけ給料高そうだけど。死ぬ、死ねる。つかさ、アルケイン将軍に会った時点でよく死ななかったな私。まあ、丸腰だったし。
最初のコメントを投稿しよう!