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「てなわけで、戦争が始まって物価は高騰し、不安定な世の中だ。」
オジサンの名前、まだ知らない。けど、だいたい現状は把握した。私が死んでない理由を除いて。
「で、どうするよ?」
「なにがですか?」
「路地裏で生活してたら、今日みたいに襲われかねない。」
「物価が高騰、ですか。農家でもやれば餓死は免れそうですが……、土地代に人件費、商業許可の申請…。それから準備費にその他、税金などの必要な資金を考えれば、大規模農園は論外、小規模農園でもかなりの資金が必要。しかも、農園として土地を買っても戦場になってしまえば土が悪くなる、耕すのも大変だし、この国や周辺の動植物に詳しくないので気候で育つ植物もわからず、リスクが高い」
「その歳で そこまで考えられるのかい、お嬢ちゃん」
「その歳って私、一七なんですけど。ゲームや政治経済なんかの戦略は暇つぶしになって楽しいですよ。現実に使えるかどうかは別として」
「一七でもすごいだろ。って…、一七!?」
一七だよ。いくつに見えていたんだ。
「すまない。てっきり十歳くらいだと…。」
童顔で悪かったね。そりゃ、もとから中学生には間違えられてたけどさ、十歳はないだろ、十歳は。
「普通に人間だろうと思ってたんだが、長命種か?いや、そんなことは種が錯綜したこの国じゃあ、お節介だったかな」
「いえ、普通の人間です。童顔なだけで………」
「そうかい。」
気まずい。
「あのさ、聞こうと思ってたんだが。ここで働かないか?武器屋は売り時だぜ。あと、お嬢ちゃんみたいな子が無理して戦場に行く必要もないしな」
「本当ですか!?」
「ああ、とりあえずは着替えとか持ってねえ……、よな。買い物に付き合うぜ。ついでに、その格好は目立つから着替えな。お嬢ちゃんのサイズの服ならある」
店長さん、ありがとう。
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