Prologue 寂しい人間

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「――ま、私の人生においての目標は幸せだったなぁ~…って実感して死ぬことだけどね~」 「あはは、一番難しいけど あんたらしいわ、じゃ明日」 「じゃあねー」 笑顔を絶やさないように貼り付けて彼女が見えなくなるまで手を振る。そのあとに安堵の溜息を吐き仏頂面になる。 私らしい、か。実はあんなの空言なんだけどね。私の幸せなんて私が知る由もないのさ。死にたいけど死にたくない人間だからね。生きるのも面倒だけど、あこの子たちの笑顔を見ると どうでもよくなっちゃうんだよね。幸せって、こんなことだと思うよ。 学校では幼い頃のトラウマからか人付き合いには臆病になってしまっていた。他人の悪口をいわず、いやな話でも笑顔でいる事をつとめ、話を途中で遮られても、つまらないと言われても笑顔でいる。 気の合わない話でも最後まで聞いてあげる、それで困っている子に手をさしのべ、掃除は率先してやり、クラスで孤立している子には話しかける。 そうやって学校では良い子の地位を築き上げた。ほかの誰でもない。私のためだ。気がついたら面倒事の真ん中にいるのも自業自得。喧嘩をした友人のどちらかの肩を持つ訳にもいかず笑顔で両者に「私は二人の友達だから」と言って、できるだけ均等に話しかけた。
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