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まずは、ミュージックプレイヤーのボタンを押してみる。プレイヤーはロッドへ変化した。とりあえず狙いを定めて詠唱をする。
ドオオオ―
その直後、巨大な音と共に空から何かが降ってきた。
「な、なんだこれ」
「ちょっと待って下さい。あ、流星群を敵陣に降らせる術ですよ」
「安全なの?」
「自軍への影響はないそうですよ。」
「そうか。」
「でも、これじゃあ守備になりませんね。防御は、こっちです」
ポワァ
自分の周りを光の膜が包む。
「なんか、敵が入り込んでたら……膜内で敵と認識した人が爆発するみたいです」
グロい。ていうか、色々な技を使えるみたいだけど力は最大の防御というか…。守備技もなぜか強い。
「噂通りでしたか」
「げ、」
気がついたら周りを厳つい兵隊さんに囲まれていた。しかも、何故かそこを割って入ってくる仮面男もといアルケイン将軍。
「この前はどうも」
半笑いのまま後ろへ下がる。
「いきなり逃げられたので、少しショックでした」
わざとらしく眉を下げて肩を落とす。
「すみません。ビックリしてしまって」
ジリジリと距離を詰められる。てか、普通にこっちに歩いてきてるだけなんだけど。
「アルケイン様……、」
「やあ、グレン。まさか君が彼女を隠していたなんてね。この前に言っただろ?彼女は陛下がお探しなんだ。名前は不明、十代で黒髪赤のメッシュに赤目。いくらなんでも君なら気づいていたはずだ」
仮面なので口元しか見えないがニコニコと胡散臭い笑みを浮かべて近づいてくる。
「しかし、シンリがそうという確証がありません」
グレンさんは私を背中に隠して将軍と向き合った。
「こんなに特徴的なのにかい?」
何が面白いのかアルケイン将軍はクツクツと喉をならした。本能的にも理性的にも逃げなければ、と思う。逃げなければ面倒な事になる。
「それにしても、」
ふぅ、と溜め息を一つ。
「そこまで、逃げなくてもいいじゃないですか」
話しかけられてビクリと肩を揺らす。そんな事を言われても、怖いものは怖いのだ。目の前の穏やかそうな青年(見た目が)は躊躇いなく何万人、それ以上もの命を奪ってきたに違いない。
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