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「恐れ多くも申し上げます。シンリはまだ魔導力の制御の練習途中です。入隊させるにしても訓練をしてからでも遅くないかと」
「グレン、考えが甘いよ。彼女の教育なら、城でもできる。悪いようにはしないよ」
「しかし、」
「君は 陛下のご命令、つまり国に逆らうつもりかい?一国の兵士ならわかるだろう?彼女を渡しなさい」
ピリピリとした空気が張り詰める。
「う、」
「いいから、僕が優しく言っているうちに。グレン?その子を渡しなさい、賢い君ならわかるだろう」
私としては逃げ出したいのだが、周りを兵士に囲まれているから逃げられないだろう。人を殺すなんてできっこないし。
アルケイン将軍はフッと笑った。
「君はその子とあの子を重ねているんだよ。悪い夢からは覚めた方がいい。さあ、その子を渡すんだ。」
私は気がつかれないようにホイッスルを口に当てて勢いよく吹いた。
「な、」
これ以上はグレンさんに迷惑をかけられない。いままでだって服も部屋もご飯も用意してくれて、仕事もしてくれてたんだ。店番なんて上司や同志と戦場をかける仕事からすれば楽だったはずだし。一か八かで逃げよう。怪我人が出るかもだけど。
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