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平等について考えてみたが私には悲しみ喜びを怒りを憎しみを、感情を平等とした。彼らに与えた喜びと同等に彼らには悲しみを与える。彼らに生を与えるなら彼らには死を。平等とは生であり死であり感情であると定義した。彼らに私は対等量の感情を抱く。それが私の決めた平等。無関心ではなく、ある程度の感心の定義を決めて接し、行動する。
今日の戦場に立つ彼らに、世界で生きる見知らぬ彼らに、幸せを願った。憎しみにしろ喜びにしろ、私は一定量の感情を越えないように気をつけなければ。友愛の域を守る。そうしなければ破滅を導くだろう。そう、昔 友愛の域を見失った少女のように。
「あーあ、なんかイヤなことを思い出したな」
少しブルーになりながらも確実に敵兵の命を奪ってゆく。
「戦場の真ん中で考え事ですか?やめた方がいいですよ、あなたが まだ死ぬ気がないんだったら」
「アルケイン様。」
振り返ればワインを片手に持っているアルケイン将軍がいた。
「やっぱり、慣れませんかね。一日じゃあ」
「いいえ、すっかり慣れてしまいました。アホらしいくらいに」
「そうですか」
会話をしながらも襲ってくる敵は始末する。
「アルケイン様は、なぜここに?」
「散歩です」
散歩と言いながらも もう片方の手に握った物騒なモノで沢山の人間をスライスしている。
「戦場で、ですか?」
「戦場で、考え事をしているあなたには言われたくありませんね」
アルケイン将軍は笑いながらそう答えた。つられて私も笑顔になる。
「それもそうですね。」
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