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アルケイン将軍は軽い足取りで先陣に進んでいく。
「馬鹿だな、人って…」
何で仲良くできないんだろう。
「まあ、いっか」
やっぱり面倒で考え事をやめて抹殺をした。だけど、気づかなかった、というより知らなかったんだ。私の異常さに、周りとの違いに。
「朝から大量の魔導力を感じると思ったら、」
銀髪の女性が歩み寄ってくる。間違いなく、この人は危ない。でも、逃げることはできなかった。逃げる隙がない。
「お前は何者だ?」
「ただの新米です」
「潜在的に魔導力が高いのか、朝から晩まで弱らずに魔導を使用できるなんて」
値踏みするように、こちらを見る。
「よくわからないです」
「魔導力が力である以上は力を使うための力が必要なはずだ。なのにお前は汗一つかかずに呼吸も乱れない。俺が強い特徴的な魔導の発動を察知したのが午前七時、それから形は違えども同じ魔導師からと考えられる魔導は午後九時、飯時以外は一度も途切れなかった。さすがに新兵の多い戦場からしたら異常だと感じて俺が直々に見にきたら、新米だと?」
「新米です」
「そんな事も知らずに魔導を使っていたなら新米に違いないな。普通なら新米は魔導力が弱まるか精神的に疲労するかする。人間が魔導力を安定させるのにも数ヶ月はかかる」
「何日かは練習しました」
敵将と戦わずに話しているのは他人から見たら奇妙な光景だろう。まあ、ほとんどは自分に必死で見ていないだろうが。
「それに、その犬。召喚か、改造の結果か、いや召喚師は強力な魔物を召喚する代わりに自分では強力な魔導を使えないはず…。解剖してみたい」
フェルト将軍はケーラー達をギラリとした目で見る。
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