2 平等の定義

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「だめですよ、私の大切な友人なんですからね」 「それは残念だ」 諦めた様には見えないフェルト将軍はケーラー達から視線を外し、私を見る。 「それほどの力を持つなら…、魔導師として上を目指すなら俺と共に来い。魔導の研究をしたいならば、お前のとこの馬鹿どもより俺の方が良いだろう?」 馬の鼻先に人参を突きつけた気分なのだろう、彼女は。勝利を、勧誘の成功を確信したのか「どうする?」とこちらを見た。彼女の勧誘は実際に魅力的だ。力を持ち、力の探求を、力を求めるものならすぐに飛びついただろう。それはつまり、私みたいな者 相手でなければ。 「お断りします」 「なっ!!」 フェルト将軍は驚いただろう。考える素振りを一切も見せずに彼女の提案を一刀両断した私に。 「あのですね、私の目標は力の探求ではなくて…。人間への、友への平等なのです。私は友を悲しませるわけにはいきません」 何日もお世話になったグレンさん。何日か仕えた国と将軍。何日か同室のフランツとイリス。彼らを、友を悲しませてはいけない。 「ならば仕方がない。無理やりにでも、お前を連れて行き魔導力の理解のために解剖する」 「遠慮しておきます」 死なない自信はない、確信だけはある。私は死なない。死ぬわけにはいかない。最凶の魔女を相手にどこまでやれるかはわからない。だけど、なんとかして逃げる。
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