2 平等の定義

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そのときだった。目の前に細身の長身が現れたのは。彼は手に漆黒の剣を携えて、正面の魔女に挨拶をする。 「こんにちは、フェルトさん。うちの新入りを誘惑しないでください」 「不死者、か」 アルケイン将軍。何故ここに?さっき前線に向かっていたはずの仮面の将軍は私の目の前でにこやかに魔女と対峙していた。 「いやあ前線を見てきたけど、若い人たちはいいですね。それにしても、フェルトさんがこんな所にいたなんて。奇遇ですね」 「わざとらしい。どうせ俺の気配に気づいて追いかけてきたんだろ。自分の兵士が傷つけられないないように」 フン、と鼻で笑ったフェルト将軍はアルケイン将軍を馬鹿にしたように見た。 「半分正解で半分間違いですよ。彼らは死ぬのが仕事のようなものですからね。死に急がなくても良いのに、みんな私を置いていく。 悲しいですが、僕には彼らを止めることはできませんよ。いつか死ぬのだから。守ることなど気まぐれでしか しません。彼らは死ぬことに誇りをかけてますから、彼らがいくら可愛くても助けることはできないんです」 悲しそうにアルケイン将軍は空を仰いだ。 「あなたの気配を察知しても ああ、またどこかで誰かが死んでいくと思うのが私です。でも、今日は違った。彼女のいる方向にあなたがいたから」 「なんだ、不死者も恋をするのか?」 「冗談がお上手ですね、せっかく人がシリアスな気分に浸っていたのに…。違いますよ。彼女の力はネクロスの軍力に必要なんです。正直、あなたの誘いを断ってくれてホッとしましたよ。とにかく、彼女を失うと軍力を無くしたと陛下が暴れますからね」
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