3 共通の日

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今日はオルガ大陸全土の休戦日だそうで、ネクロスの兵士には召集がかけられていた。部屋の前に迎えに来たグレンさんに問いかける。 「グレンさん、今日はなぜ大陸全土の休戦日なんですか?休戦なのに召集って何の用ですかね?」 「お前、知らないのか?…………あ、そういえば東の大陸から飛ばされたのか」 グレンさんは不思議そうな顔になった後に納得して済まなさそうにこちらを見た。 「気にしないでください」 「帰りたいと思わないのか?」 「帰る場所は、もうありませんから」 「そうか……、すまないな。変なこと聞いた」 グレンさんはさらにすまなさそうな顔をした。何かとてつもない勘違いをされた気がするが、まあ説明するのも面倒だし そういうことにしておこう。 「それで、今日は?」 「お前も戦乱の世を駆けてきたならわかるだろうが、オルガ大陸でも侵略戦争の影響で一日の戦死者はとてつもなく葬式が追いつかないほどだ。そこで、法王庁の仲裁の下にオルガ歴の中で月に一度だけオルガ大陸全土へ休戦日を設け、戦死者を弔う事にした。それが今日だ」 「そう、なんですか。」 なるほど、戦死者の数も名前も戦死した日も毎日の部隊点呼でわかるが、大量の戦死者の葬儀を行うのは毎日の戦争で不可能。死体の回収など、可能なわけがない。 「兵士が集まり、戦死者を弔う。家族や恋人には手紙を通して伝えられる、遺書があればそれも一緒だ。だけどな、戦争の影響で来られる一般人は僅かだ」 この大陸全土休戦日は戦いが終わるまで、終わっても新たな戦いが発生する異常は、完璧に戦いが終わっても大切な日として続くのだろう。大陸が一つになる共通の日。これが終わらない事を私は願って私は歩き出した。
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