Prologue 寂しい人間

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ホイッスルの音を聞きつけた愛犬は尻尾を千切れんばかりに振って走ってきた。ジャーマンシェパードのケーラー ドーベルマンのブラッキー シベリアンハスキーのチェーホフだ。私は三匹が整列したのを見てからリードを付けて扉を開いた。余談だが、このホイッスルは彼の有名な「サウンド オブ ミュージック」で大佐が吹いていたのを見て、思いつきで買った純銀性だ。小遣いを叩いて買ったが後悔はしていない。訓練を積んだ彼らは笛の指示通りに動いてくれるし頭が良い。私は上機嫌でヘッドホンをしミュージックプレイヤーの電源を付けて、いつも通りに考え事をしながら、いつもの公園へ向かった。 しかし、これがいけなかったらしい。角を曲がったときにトラックが突っ込んできた。ボーっとしていた私が避けられるはずもなく、体中の激痛と気持ち悪さを感じながらと視界に広がる赤と青と黒を見ながら「ケーラー、ブラッキー、チェーホフは無事かな」なんて考えながら意識を飛ばした。
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