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シンリが青空を眺めている頃に、別の二人の目も空を眺めていた。
ここはアルゴスの城の一角。ドイセルは資料整理をした手を休めて青空を見上げた。
「平等、ですか」
何日も考えてみたが平等と言われて思い当たる事はない。アルゴスではクーデターを企てる人間が多く、テロなんて日常茶飯事と化していた。辿りついた先が内乱中のアルゴスで途方にくれていた所を運良くフェルトさんに拾われて、今に至る。
『英雄になりたい!0』の世界にいた事は驚いたが自分は弓師だ、戦闘に巻き込まれる事が無ければ力が露見する事は無いだろう、と思ったのにフェルト将軍は弓の力を見抜いてしまった。まあ、剣魔弓はこの世界での三大属性と言っても過言ではないので驚くことではないのだが、戦う意志が無いことを語ると事務職に回されたのには驚いた。てっきり解剖されるか無理やり軍に入れられるかすると思ったのだが「戦う意志の無い兵士は無駄死にするだけだ」と言われた あの日から書類整理の職に就いている。
「やれやれ、問題は」
自分は戦わなくて済んだ。しかし、シャルエットやシンリは無事なのだろうか?テオドアなら手荒な真似はしないだろうが、ネクロスの王は強引だ。人の意見を聞くことはあるが自分でコレと決めたら止まらない。これだけ巨大な力を持っていれば軍力に引き入れられてもおかしくはない。
「無事、だといいんですが」
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